取引先からの接待や付け届け、なかには袖の下といった会社ならではの慣習(?)があります。そういったものにはどう対応すればいいでしょうか。私の答えは一択、「全部ことわる」です。
接待を受けること
前回の記事ではワリカン負けを推奨しました。今回はその続編といった感じです。
会社では取引先からの接待や付け届けといったものが発生しがちです。食事やゴルフ、お中元・お歳暮といった類いですね。
昭和や平成前期まではこういったのは〔おつきあい〕ということでコミュニケーションのツールであったり、また対象者のプライドをくすぐったり、さらに賄賂という性格をもったりと日常風景の一部でもありました。
しかし今では会社でこういうことを禁止、あるいは全体的なコンプライアンスの高まりで後ろめたいことができにくくなるという風潮にはなっています。
ただ会計上にも「接待交際費」という勘定科目があり、必要なこともあるのでこれからなくなるということではありません。
では接待を受けるかはどう考えればよいでしょうか。
ここではモラルを前面に出した精神論ではなく、単純な損得で語っていきたいと思います。
接待を受けないのは損?
接待を受けたらこんなに得?じゃあ受けなきゃ損?
食事をごちそうになったとき
二ヶ月に一度、1万円とすると 10000×6=60,000円
ゴルフに招待されたとき(公式コンペを除く私的なもの)
四半期に一度とすると 30000×4=120,000円
お中元、お歳暮をいただいたとき
一年に二回とすると 10000×2=20,000円
頻度や金額にデータがあるわけではないので適当な数字ですが、まあかなり上の役職でこんなものかなと思います。
1~3の合計額は年間20万円です。これを見ると「ああ、上の連中は得してやがるなぁ・・」と思いますよね。
接待に伴うリスク
では今度はマイナスなことを書いていきます。
礼状を書いたり、時にはお返ししたりしなければいけないので単純に面倒です。
ビジネスに情実が入り正しい判断ができなくなります。こちらにとって受けにくいことでも接待の濃さに比例して断る難度があがります。それがエスカレートしていくと次のようになります。
いちばん怖いのは、断りにくい感情の延長でだんだん癒着への抵抗がなくなってくることです。先方が最初からそれを目的にしていることもあります。




また接待がエスカレートしていくなかで感覚が麻痺し無防備となることで、弱みを握られて癒着どころか脅迫されるリスクも発生します。ドラマのシーンのようですが、実例も知っています。
得することを捨てるのは本当に損?
では百万、千万単位のリスクならやる価値があるのかといえば、当然背任等の犯罪になりますからいいわけがありません。
仮にやったとしても自分の罪悪感に耐える自信もなければ、露見したときに人生を棒に振るというハイリスクもさらに割に合わないと感じます。
ですから数十万円の接待なら自分のお金で好きなものを食べ、好きなものを買う方がよっぽどいいと思います。このようにモラルやコンプライアンスの面だけでなく単純な損得計算でも接待を受けることは得にはなりません。
また接待を受けないことの本当のメリットは次のようなものだと思っています。
得することを捨てることこそ本当の得
接待を受けないことは付き合いが悪いとマイナス評価でも、清廉潔白とは思われます。まあ私自身は全てが清廉潔白というわけではありませんが(笑)、ことビジネス面では清廉潔白な自信がありましたので気持ち的にはとても楽でした。
堅物はプラス評価にはなりませんが、そのぶん袖の下が通じないと思ってくれますので誘惑されにくいメリットがあります。
これが最大のメリットだと思います。業者さんと仕事以外の付き合いがないのは、何の私情も入らず案件比較等ができます。それ故に純粋にビジネスの勘所が鍛えられます。
(ただし会社には必要な付き合いと不必要な付き合いがあります。例えば取引先主催のゴルフコンペやフェア等の公式行事には積極的な参加が必要だと思います。)
この記事で私は自分が清廉潔白だと言いたいのではありません。モラルや精神論ではなく、ドライに言えばただの損得勘定でも過剰接待を受けることは得にはならないことをあなたに伝えたいのです。
実際、私の周りで、過剰接待をよしとしていた人は何故か原因が不明なまま、どこかで失脚しています。あなたにはこの轍を踏んでもらいたくないのです。
ですから
前回の記事のワリカン負けをしたり、取引先から享受できることを放棄する『損』は実はとっても『お得』だと思うのです。
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